怪談ブームの終わりはいつか?
おそらく、あと数年もしたら人々は怪談話を聞かなくなると思う。
なぜか
ブームが去るというよりは、幽霊や怪異というものが、世の中の恐怖の対象から外れていくのではないかということである。
……どういうことか
日本は平和だ。
だからこそ夜の暗闇や朽ち果てた廃墟の中に「この世ならざらぬ者がいるのではないか」と、想像し、畏れ、怖がることができる。
もしも日本の治安が悪く、犯罪がはびこり、人々が夜に一人で外を歩けないようになってしまったら
我々が恐れるものは幽霊や妖怪ではなく、犯罪者や無法者である
弾丸が飛び交う街で幽霊を恐れる人はいない
トラやライオンのいる森で聞こえた物音を「妖怪の仕業」と思う者はいない
貞子や伽椰子より闇バイトの強盗団の方が怖い
心霊写真よりそこから個人情報が特定される方が怖い
「ここの部屋、去年自殺があったんです」
よりも
「向かいのビルで、この前ギャングの抗争があったんだよ」
こっちのほうが怖い
恐怖の根源は「死へのおそれ」だ
現代社会では、死というものはあまりに実生活とはかけ離れた場所にある
深夜にコンビニへ買い物に行くのに、それほど身の危険を感じることなどない
それがあるのはストーカー被害にあっている人や、極危険な地域に暮らしている人だけである
夜道を死の心配なく安心して外を歩ける
当たり前だが、これこそが闇の中に人以外の恐怖の対象を想像できる条件なのだ
平穏がそこに怪異を生む
今後日本の治安はどんどん悪くなる
日本人が貧しくなって、闇バイトや軽犯罪が増えれば
夜道だけでなく、昼の町も安心して歩けなくなれば
そこに怪異は存在しなくなる
寺社や地蔵がぶっ壊されて燃やされても、祟りなんか起きない
ぶっちゃけ
たとえ平将門の墓が爆破されても、どうせ何も起きないだろう
もっと頑張れよ将門
怪談が生き続けるには平穏が不可欠だ
世の中が混沌としてくれば怪談は死ぬ
今のうちに楽しんでおくべきか……
平穏が続くことを願いながら、今日も怪活に励むとしよう